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UXトライアウト・ UXデザインの基礎知識【レポート】

セミナー概要
UXトライアウト・3時間で学ぶUXデザインの基礎知識【8/6渋谷・昼開催】
2018/08/06 (月) 13:30 - 16:30 
ユーリカ株式会社 主催

peatix.com

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講師の方はもともとメーカーにてユーザ調査、分析、改善などを担当していたものの、現職で手がけるのはWEBサイト改善がメインだそう。

UXデザインにおける原理原則はモノもWEBも同じだとのこと。

筆者もモノとアプリの両方を提供する事業に関わっているので、どちらでも応用できるように受講したいと思います!

本シリーズのセミナーは毎回、演習があるので楽しみ!

 

まとめ1  最も印象的だったことば
最近成功しているモノ、サービスを掘り下げると

・体験という付加価値の実現(コト消費といわれて久しいですね)

・イノベーション

・消費者行動のコントロール 

のいずれかまたはいくつかを達成しているが、まさにこの3つはUXデザインであるということ。UXデザインという言葉が普及するまではそれぞれそう呼ばれてきただけで、イノベーションも結局はUXデザインの極みだということ。なるほ。

今の時代、企業競争に勝ちぬくにはUXデザインが不可欠!!次は何がくるんでしょうねー

 

まとめ2 今日から!自分でやるUX

UXデザインとは本来全社的な取り組みであるけど、そうはいってもいきなり全社を巻き込んだ取り組みは難しい。一人でまずは実践してみよう。:

・使いやすさに関わる問題からはじめる

・既存の商品、サービスの現状把握からはじめる
 →次の企画提案のときに提案できる。

・同僚相手の略式ユーザテストから始める。
(あくまでユーザになりそうな層を選ぶこと)

早速やってみようと思います( ´ ▽ ` )ノ

ーーー

講座本題

1.イントロ − 有名事例からUX的視点を考える
(1)音楽メディアの変遷を考える

カセットテープ → MD →・・・と改善してきた日本企業。

かたや、iPodをリリースしあっという間にポータブル音楽市場を席巻したApple。

この両者のちがいはなんだろう?

そこにはUXデザイン思考があった!

から講座はスタート。

Appleの発想1:そもそもメディアの抜き差しが面倒だよね

→ 小さなデバイスにまとめた

それだけなら他のmp3プレーヤと変わらないわけですが、更に・・・

Appleの発想2:音楽をCDとかから入れるの面倒だよね

となり、購入できるようにしたところ!ここの発想のちがい。

最近の事例ですとGoProもまさにUXデザインの勝者といえるのではないでしょうか。

どんどんカメラが高機能化するスマホ市場、ミラーレスの登場で再燃するデジカメ市場のなかでヒットしたGoProの設計思想のもとはきっとUXデザインに違いない。

tech.nikkeibp.co.jp

(2)デジタルカメラの事例で見る日系企業と米系企業のちがい

そのデジタルカメラ市場はかつては日本企業がリードしてきた業界。
一方で米系企業は「カメラ」という市場に対しどのようなアプローチをしたのか?

→Instagramはデジタル写真の楽しみ方を提案

→AppleはInstagramに最適なデバイスを開発。

モノをつくる日本企業。

UXをデザインする米国企業。

モノにあふれて久しいこの時代・・

UXを知らなければ企業競争に勝てない!

そしてその事例が示すようにUXはWEBだけの話ではなくものづくりにも通ずることなんですねー。

2.UXの定義

ISOの細かい規定も実際にあるけど、要は・・

「ユーザの快・楽」をいかに作り出すか、ということ。

その手段がUXデザインであり、UXデザインこそがサービスや商品の目的であると言っても過言ではない。
ものありきで始まる、「ものづくり」とは発想が違う!

期待はずれという言葉にみるUX

心の変化に着目するのがUX。心の変化が行動の変化につながる。

一部自分たちではどうしようもない要因や製品に直接関係のない要因(会社のブランド認知やイメージ)だって実際は影響している。

例えばブランドイメージが高い会社の製品を買ったら「期待はずれ」だった。

仮に同じ製品でも無名の企業のものを買うとまた違う気持ちになったかもしれない。

製品サービスを消費者が直接利用する前、または一見直接関係ない要因によって消費者の気持ちはすで作られているということ。

そして消費者の気持ちの持ち方は環境、身体特性、過去の経験なども影響する。

だからこそどういう人がどういう環境でつくるのかを知った上で設計しないといけない。

UXデザインは全社的取り組みであり、もっと上流から考えるべき

企画の段階でコンセプトが受け入れられるのか、というところから始めないといけない。企業活動のすべてがUXデザインの対象になる、ということを共有しないといけない。現場担当者一人の問題。

UIとUXは一緒?

UI/UXという表現は、狭義のUX。本来UXは全社を巻き込んだ、大掛かりかつ根本的な活動。一時期、デザインも同じ話があったな・・・ブランディングも同じ話ですね。UXデザインに関わる一要素、という表現がいいかもしれないです。

UXデザイン導入で期待できる成果

経営層も巻き込むためにはメリットをしっかり伝えて共有することが大事!

(1)体験という新しい付加価値の提供 →サービス業界がメイン
 コーヒーの値段の差額はなんだろう?UXの価値のちがい。

 UXデザインの話題で「使いづらさの解消」という話がでるが、それは付加価値の一部。そもそもユーザは使いたいと思ってるのか?何を解決したいのか?からはじまること。

 参考図書 

[新訳]経験経済

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(2)イノベーション → メーカー企業が多い
 →先にあげたApple製品やスタートアップ成功の要因

(3)消費者行動のコントロール →IT、ゲーム系が多い
 →基本無料ゲームにおける課金の分野で研究が盛んなポイント!

発想を転換しよう

・製品はUX実現の手段である

・ユーザへの共感と深い理解から新発見がある → お客さんをよく知ろう!!

・試行錯誤の繰り返しを重視する思想

使いづらさの解消だけがUX?

間違いではないけど・・使いづらさの解消だけでは先にあげたような、製品のブラッシュアップのみで抜本的な改革にはならない

注意:経営者と現場でUXデザインの認識が異なることもある!

イノベーション?付加価値?

違うと、社内評価が下がって予算おりなかったりコストがかけられないので注意しよう。

 

【実習】自分が不快だったUXの事例を考えてみよう

会場の受講者2名が発表。一人は電車検索アプリが使いづらくて使うのをやめた事例を発表。

→本事例についてユーザは「時刻表検索」ができるにもかかわらず使いづらくて利用をやめてしまった。このことから、単純に目的が達成できるかどうかだけを目指していても使ってもらえない。快適に使える」ということを期待しているユーザもいる!

 

3.UXをデザインする方法 

【1】事例を真似る

※すぐできるけど一般的な事例の範囲にしか適用できない。使いづらさの改善などならいい。
※企画段階から考える場合は前例がないので対応できない。

おすすめの事例や参考情報

1)AppleやAndroidが出しているデザインガイドラインを参考にする

アプリやWEBサービスならこれに対応すれば「らしい」ものはできる。

2)フレームワークに学ぶ!
ニールセンが提唱する「10のヒューリスティックス」に学ぶ

3)事例集をみる
1)2)で表面上のものは学べるが、「なんでそうなのか?」ということを理解するには解説書を読むといい

おすすめ参考情報

www.sociomedia.co.jp

モバイルデザインパターン 第2版 ―ユーザーインタフェースのためのパターン集

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これは商品に関係するもの 

[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61

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 特定のパターンさえ守っていればある程度いいUIは作れる!
が・・・一般的な問題への対処がせいぜい。
特定のユーザ向けのものでものづくりをしているはずなので、そうすると事例に学ぶだけでは足りなくなってくる・・。ということで、特に新しいものをつくるとか、イノベーション的なUX改善をするならば次の事項。

【2】適切なプロセスにしたがう

ISOでちゃんと定められている。参考:

人間中心設計の国際規格ISO9241-210:2010のポイント

要は、

① ユーザを理解する

② 提供したいUXを定める

③ ユーザの協力のもと検証する

という手順。なぜ、わざわざ手順が決められているのか。それは、

・設計者はユーザのことを知らないし、それを自覚していないから!
・狙い通りのUXをユーザに提供できたかどうかはユーザに聞かないとわからないから!

4.マーケ調査におけるユーザ調査とUXデザインにおけるユーザ調査のちがい

ユーザの利用状況を把握すること、が違うポイント。何を知りたいのか、という視点が違う。

ユーザモデリングとは?

・ユーザ調査で得た特徴、価値観日常行動などを図表でわかりやすく表現。

・代表的手法はペルソナ、シナリオ、カスタマージャーニーマップ。

 ペルソナ:将来ユーザになりそうな人を調査した結果から空想して、さもありそうな人物像をつくる。まったくの適当ではもちろんNG笑

 現状シナリオ:ペルソナでつくった典型的なユーザ像が取りそうなユーザの行動。小説風なイメージ。なんでわざわざシナリオを書くのか?
 体験そのものは目に見えないから、「体験談」として文章にすることでUXを少しでも可視化するため。シナリオは、行動、状況、思考と感情、人物設定の4要素で体験を記述する。

→講義では走れメロスの冒頭文を例に挙げていて納得!良い小説を参考にすれば良さそうです( ´ ▽ ` )ノ

 カスタマージャーニーマップ:シナリオとほぼ一緒だけど、時系列のフローチャートに落としこんだもの。どこに問題があるのか(誰の担当なのか)がわかりやすいので内部資料として向いている。

 基本は現状シナリオがいいが、開発者向けにはカスタマージャーニーマップがいい。

【 実習2】さっき挙げた商品について自分の現状シナリオを書いてみよう!

ここでも受講者の事例を共有:

音楽プレイヤーならウォークマンが本格的だと思い、AndroidOSが入った端末を買った。基本はiPhoneユーザ。音質に期待して音楽を聞くために買ったけど、実際使うと機能が多すぎて煩わしくなってしまった。アプリとか色々入ってて面倒で無駄な大きさ、無駄な機能だった。

→そもそも、自分の理想としていたものが、使ってみると違った、という事例。
目的の達成のみでは駄目、という事例。使いづらさがネック。
Sonyの製品がいいという期待があって買っており、この期待も体験であることに注目。

5.現状シナリオ → 理想シナリオ → 構造化シナリオ

顧客に提供したいUXを定義するために書かれたものでUXデザインの中間制作物!

現状シナリオの主人公のままで書く。先に理想を描いてから製品サービスを考えるという順番。

理想シナリオから、要求定義を導くのが構造化シナリオ。

理想シナリオに登場する機能、性能こそが最重要なものとみなされる!

6.UXデザインにおけるプロトタイピングとは!

UX評価に用いるためという点が重要!評価に使えるなら実際に動作するモノでなくてもOK。→ BMCベースにしたMVP作成に似てる!

ユーザにそのサービスが何か、そのサービスを利用しているイメージが伝われば(サービスの価値がつたわれば)評価できるのではないか。

UX評価とは、提供したいUXを実際に提供できているかを検証すること。

そもそも提供したいUXはユーザ要求をみたしているものか、が重要・・!
(思い込みじゃない、それ?)

ペーパープロトタイプを活用しよう

何よりコストがかからないし、見た目のデザインにとらわれずに機能や情報構造に関することに集中出来るのが利点。

ユーザビリティ評価と混同されがちだけど、使いやすさを評価するまえにそもそも 使いたいのか?が重要

ユーザビリティ評価

評価方法1:ユーザテスト
ユーザまたはそれに近い属性の人に製品や試作品を使用してもらう。
ユーザに負担のかかる手法なので、2からまずやってみて基本的な問題点を排除するべし。

評価方法2:ヒューリスティック評価

コストをおさえて実施可能!こちらで一般的な課題を先に対応してからユーザテストを実施するのが理想的な進め方。

詳細はレポートを参照

8create.hateblo.jp

 【実習3】実習2で書いた現状シナリオを理想的に解決する理想シナリオを商品アイデアとして書いてみよう

受講者の事例共有はメモできず。

今回も充実した内容の3時間。

理屈ではわかっても実際に自分の事例を考えると難しいですね。

#07 Flexibility and efficiency of use ヒューリスティックなデザインを見つける

#07 Flexibility and efficiency of use 柔軟性と効率性

Accelerators — unseen by the novice user — may often speed up the interaction for the expert user such that the system can cater to both inexperienced and experienced users. Allow users to tailor frequent actions.

アクセラレーター(操作を早くするコマンド、初心者ユーザには見えない)は上級ユーザの操作を早めることができ、初心者と上級者ユーザの両方にとって使いやすくすることができる。

ユーザには、頻繁につかう操作をカスタマイズできるようにしてあげましょう。

10 Heuristics for User Interface Design: Article by Jakob Nielsen

アプリケーションを初めて触るときはショートカットから覚える、という人もいるのではないでしょうか。(ショートカットを思いついた人は天才…)

事例

 

#06 Recognition rather than recall ヒューリスティックなデザインを見つける

#06 Recognition rather than recall 記憶しなくても、見ればわかるようにする

Minimize the user's memory load by making objects, actions, and options visible. The user should not have to remember information from one part of the dialogue to another. Instructions for use of the system should be visible or easily retrievable whenever appropriate.

オブジェクトやアクション、選択肢を明確に示すことで、ユーザに記憶させることを極力減らしましょう。

ユーザに、ダイアログ間を遷移するときに情報を記憶させるべきではない

システム利用の説明は可視化するか、いつでも簡単に見られるようにしましょう。

10 Heuristics for User Interface Design: Article by Jakob Nielsen

一つはアフォーダンスと近いものでしょうか。

先日の講座では、ノブがない手押し式のドアを例に挙げていましたが、記憶しなくても=考えなくてもわかるということですね。

また、講座ではGUIこそ最もわかりやすい例とも言っていました。

CUIの時代はすべてのコマンドを覚える必要がありますね。更にはデータ操作をするにもデータの位置関係もしってないといけないですしね。

#05 Error prevention ヒューリスティックなデザインを見つける

#05 Error prevention エラーを防ごう

Even better than good error messages is a careful design which prevents a problem from occurring in the first place. Either eliminate error-prone conditions or check for them and present users with a confirmation option before they commit to the action.

良いエラーメッセージを表示することよりも、そもそも問題を防止するための慎重なデザインのほうが重要です。

問題が起こりやすい状況を取り除くか、本当にそれを実行するのか、という確認のオプションをユーザーに提示してあげましょう。

10 Heuristics for User Interface Design: Article by Jakob Nielsen

問題が起こったあとのエラー表示よりも、そもそもそれを未然に防ぐための手助けをしてあげましょう、ということ。

「本当に削除しますか?」などの確認ダイアログなどが最も多い例ですが、ある意味では操作に「ひと手間」かけさせることでユーザが望まないことを防ぐと。

こうして手間をかけて確認してもなお、

「あぁっ!やってしまった・・・。・゚・(ノД`)・゚・。」

という人は必ずいるものですがw、Gmailの送信取り消し機能はそんな人のための事後のError Preventionとも言えますね。(よく助けられています)

事例

 

 

 

#04 Consistency and standards ヒューリスティックなデザインを見つける

#04 Consistency and standards 一貫性を持て、スタンダードに従え!

Users should not have to wonder whether different words, situations, or actions mean the same thing. Follow platform conventions.

ちょっとしたデザイン、用語、状況の違いによって、それらは同じことを意味するのか?とユーザに迷わせてはいけません。プラットフォームの規定に従おう。

10 Heuristics for User Interface Design: Article by Jakob Nielsen

一貫性の法則というのはデザインでもよく言われますが、プラットフォームの規定とはなにか。講座ではAppleGoogleなどの「プラットフォーマー」がガイドラインを出しており、それがデファクトスタンダードになっているので、各スマホアプリのデザインはそれに倣うのがいい、とのこと。

ただ、上記記事のリンク先でFollow Platform Standardsのリンク先記事、Do Interface Standards Stifle Design Creativity?にはそれ以外のことも書いているような気がするのでいずれ翻訳に通して読み込んでみようかと。

参考

ユーザインターフェイスのデザインのヒント - Apple Developer

 

material.io